創立80周年にあたり、幼きイエス会の会員一同、心からお祝い申し上げます。
1933年、福岡の地に播かれた種は、たくさんの方たちの献身と犠牲、心のこもったお世話のおかげで大きな樹に育ちました。
「女性に教育、生きる力を」と、福岡女子商業学校の創立に関わった幼きイエス会の姉妹たちは、社会情勢に精通した専門家や、福岡の土地に詳しい多くの方たちのご協力がなければ、任務を果たすことはできなかったでしょう。
その時々にいのちの育ち具合を見守ってくださった方たちの働きかけと、自らの内にひそむ力に目覚め、たゆまぬ努力を積み重ねてきた生徒の皆さんの応答が見事に織りなされてできた福岡雙葉80年という「タペストリー」。これは、世界にひとつしかない作品です。
子どもが生まれたとき、両親は「子どもの成長と共に親になっていく』と言われています。一人ひとりが違う子どもなので、子どもが生まれるたびに親は、その子の親になっていくことになります。一人ひとりの「いのち」に、親として、教師として響き合う事が求められる「教育」とは、本来「響育」なのかもしれません。
カリール・ジブランというレバノンの詩人は、『預言者』の中で次のように言っています。
「あなたの子は、あなたの子ではありません。…子に愛を注ぐがよい。でも考えは別です。子には子の考えがあるからです。…あなたは弓です。その弓から、子は生きた矢となって放たれて行きます。射手は無窮の道程にある的を見ながら、力強くあなたを引き絞るのです。彼の矢が速く遠くに飛んで行くために。あの射手に引き絞られるとは、なんと有難いことではありませんか。なぜなら、射手が飛んで行く矢を愛しているなら、留まっている弓をも愛しているからです。」
福岡雙葉学園というタペストリーが、今日からの一歩を、第一の製作者である神様の手に委ねて、さらに織り込まれていきますように。
矢をも弓をも愛してくださっている射手に、思いっきり引き絞られ、放たれて行く一本一本の矢が、的に向かって飛び立っていきますように。